格安SIMは料金が安いですが、災害時にちゃんと使えるのか心配だと、という人も多いと思います。災害時は大手キャリアでも通話が規制されたり、通信速度が落ちたりして連絡が取れないことがありますが、格安SIMは大丈夫なのでしょうか?
また、緊急地震速報や災害用伝言版といったサービスは同じように利用できるのでしょうか?
今回は災害時の格安SIMの対応方法や大手キャリアとの違い、デメリットと対策などを詳しく解説します。
1.緊急地震速報の利用
災害が発生した際に役立つのが「緊急地震速報」です。大手キャリアでは当たり前に利用できるこの機能ですが、格安SIMでも利用することができるのでしょうか?
1-1.緊急地震速報の受信
結論から言うと、格安SIMでも緊急地震速報の受信は可能です。
緊急地震速報は「ETWS」という方式を利用しています。このETWSは全国瞬時警報システム「Jアラート」にも使われており、回線契約は関係なく、大手キャリアも格安SIMも関係なく届きます。
ただし、あくまでも端末がETWSに対応している場合です。大手キャリアだろうと格安SIMだろうと、ETWSに対応していれば緊急地震速報を受信できますし、逆にETWSに対応していなければ緊急地震速報を受信できません。
大手キャリアの端末の場合はほぼすべての端末で対応しています。しかし、格安SIMでよく使われているSIMフリースマホはETWSに対応していないことが多いです。
また、緊急地震速報は自治体が発信するものもありますが、そちらについては対応しているSIMフリースマホがほとんどなく、受信ができません。
さらに、使用端末がSIMフリースマホの場合は緊急地震速報を受信しても画面表示されない可能性があります。
1-2.SIMフリースマホの対応策
SIMフリースマホの緊急地震速報の対応状況は確認できません。SIMフリースマホは数が多く、しかも販売しているメーカーも多岐にわたります。
そのため、SIMフリースマホで緊急地震速報を受信できるかどうかはメーカーに問い合わせるしかありません。
もし緊急地震速報に対応していないSIMフリースマホを利用する場合は、プッシュ通知で緊急地震速報を知らせてくれるアプリを活用しましょう。
そのようなアプリはいくつかありますが、その中でもとくにおすすめなのが以下の2つです。
(1)Yahoo!防災速報
他にも土砂災害や河川洪水、火山情報、防犯情報など、防災に関するあらゆる情報をプッシュ通知してくれます。
音量や通知音、マナーモード時に鳴らすかどうかなど、設定も細かく変更可能です。とりあえず、このアプリを入れておけば問題ないでしょう。
(2)ゆれくるコール
Yahoo!防災情報のように多機能ではありませんが、地図で地震の広がりを確認できる「震度マップ」や体感した震度を共有する「ゆれ体験」など、地震の情報を詳しくチェックすることができます。
基本的にはYahoo!防災情報をインストールしておき、地震に関してさらに詳しく知りたい場合はゆれくるコールも入れておくと良いでしょう。
2.災害時の通話
災害時に不安なのが、ちゃんと通話ができるかどうかです。地震などの災害時に離れた場所に家族がいると電話で確認を取りたくなります。ただ、格安SIMでも災害時にちゃんと通話ができるのか心配な人もいるかもしれません。
ここでは格安SIMでも災害時にちゃんと通話ができるのかどうかについて解説します。
2-1.格安SIMでも通話可能
結論から言うと災害時でも通話はできます。格安SIMの電話回線は大手キャリアの通信設備を利用しているので、災害時も大手キャリアと同じ条件・品質で通話ができます。
ただし、大手キャリアと同じ条件なので、大手キャリアで通話規制が行われると格安SIMも同じ影響を受けます。
2-2.緊急電話(110番、119番)の可否
緊急電話は電話回線を利用できる音声通話SIMであれば利用可能です。データ通信(インターネット)だけができるデータ通信専用SIMは電話ができないので、緊急番号を利用できません。
データ通信専用SIMは音声通話SIMより月額料金が安いですし、最近ではLINEしか使わないので電話はいらない、という人も多いです。
しかし、緊急時のことを考えると、メインのスマホでは音声通話SIMを使うのがおすすめです。データ通信専用SIMはあくまでもサブ端末やタブレット用と思っておきましょう。
2-3.IP電話、通話アプリの利用
データ通信専用で通話をする場合はLINEやSkypeといった通話アプリや、インターネット回線を利用して電話をするIP電話が使えます。これらは災害時でも利用できます。
ただし、IP電話や通話アプリだと緊急電話はできません。やはり、緊急電話を利用する場合は音声通話SIMにしないといいけません。
3.災害時のデータ通信
格安SIMでも災害時に通話は可能ということでした。では、データ通信はどうなのでしょうか?
3-1.格安SIMでもデータ通信可能
データ通信に関しても、基本的には災害時でも可能です。データ通信なら音声通話SIMだけでなくデータ通信専用SIMでも利用できます。
ただし、データ通信の利用者が急増すれば回線速度は低下します。格安SIMは大手キャリアから回線を借りてサービスを行っていますが、借りられる回線には限度があるため回線が混雑すれば速度は大きく低下します。
災害時でなくても、平日のお昼になるとほとんどの格安SIMは速度が低下します。これはサラリーマンや学生などが昼休みになり、一斉にスマホを使うことで回線が混雑するためです。
災害時にもこれと同様のことが起こるため、通信速度が遅くなる可能性が高いです。
被害が大きい場合は使用不可の可能性あり
格安SIMでもデータ通信は可能で、災害時も速度が落ちることはあるものの、使用自体は可能です。しかし、災害による被害が大きい場合は使用不可になる可能性もあります。
多くの格安SIMでは、大手キャリアと接続するための基地局が1箇所しかありません。そのため、格安SIM会社が保有する通信設備に被害が出た場合は被災地以外でも全国的にデータ通信が低下することがあります。
通信設備への被害が大きければ、最悪データ通信不可の可能性もありえます。
3-2.熊本地震の際の状況
ここ最近起きた大きな災害としては2016年4月の熊本地震があります。この際には、MVNOサービスの回線がパンクすることはありませんでした。また、通信事業者によって高速通信ができるデータ通信量の無料提供もありました。
もちろん、各MVNOによって対応は異なりますが、格安SIMでも災害時にはしっかりと対応をしてくれるようです。
3-3.震災に強い格安SIM
格安SIMの中には災害に備えて基地局を複数持っているものや、回線品質が大手キャリア並みに良いものもあります。災害に備えたいなら、そういった格安SIMを契約するのも1つの手です。ここでは、災害に強い格安SIMを紹介します。
(1)IIJmio
IIJmioは基地局が関東と関西に2箇所あります。そのため、どちらかの基地局が災害で使えなくても、通信速度が落ちることはありますが全くデータ通信ができなくなる、といった状況にはなりにくいです。
防災情報を掲載したホームページを公開し、緊急地震速報を配信するTwitterアカウントがあるなど、防災意識も高いです。
(2)OCNモバイルONE
OCNモバイルONEも基地局が関東と関西に2箇所あるため、災害が起きてもデータ通信ができなくなるというリスクが小さいです。
大手プロバイダであるNTTコミュニケーションズが手掛けているということもあり、普段から設備増強を積極的に行っているので頼もしいですね。
(3)Y!mobile
Y!mobileは大手キャリアの1つであるソフトバンクのサブブランドであり、厳密には格安SIMではありません。しかし、格安SIM並みの料金で利用できるので、格安SIMとして扱われることが多いです。
Y!mobileはMVNOと違い、自社で回線を保持しているため通信速度が非常に速く、回線が混雑するリスクが小さいです。災害時も安定した通信をしたいという人におすすめです。
4.災害時の安否情報
遠くに住んでいる家族が被災した際には、その安否が気になりますよね。ここでは、格安SIMで利用できる安否情報について見ていきましょう。
4-1.大手キャリアとの違い
災害時の安否情報を確認する際に、大手キャリアと格安SIMで違いがあるのが「災害用伝言板」に関する取り扱いです。
大手キャリアでは災害用伝言板が問題なく使えますが、格安SIMでは使うことができません。
災害用伝言板とは?
災害用伝言板は災害が起きた際に家族や知人に無事でいることを伝えるための手段の1つです。
電話やメール、LINEなどで連絡できれば何も問題ないのですが、電話は規制されることがありますし、回線が混雑するのでメールやLINEも送りにくくなります。そんなときに役立つのが災害用伝言板です。
被災した人が「無事です」「被害があります」といった現在の状態とコメントを登録することができます。登録すると電話番号と名前が紐づけられるので、安否情報を知りたい人は確認したい人の電話番号で検索することで、現在の状況とコメントを確認できます。
災害時の安否情報を素早く確認できるサービスですが、利用できるのは大手キャリアとY!mobileのみで、格安SIMでは利用できません。
4-2.災害用伝言板を使わず安否確認する方法
格安SIMでは災害用伝言版が使えない、ということでした。しかし、格安SIMでも使える災害用伝言版に似たサービスがいくつか用意されています。
格安SIMの場合はこれらのサービスを利用しましょう。
(1)web171
web171はNTT東日本・西日本が提供する災害用伝言版です。現在の状況(安否)とコメント、さらに電話番号と名前を登録することができます。登録した情報は電話番号で検索すれば誰でも閲覧できます。
さきほどの災害用伝言版と内容はほぼ同じですが、こちらは大手キャリアとY!mobileだけでなく、格安SIMユーザーも利用可能です。
(2)J-anpi
J-anpiは安否情報を確認できるWebサイトです。大手キャリアとY!mobile向けの災害用伝言版やWeb171に登録された情報を一括で検索することができます。
J-anpi自体は情報を確認するだけなので、登録をしたい場合はweb171を利用しましょう。また、J-anpiを運営しているNTTレゾナントが安否情報を登録したり災害情報を確認できたりするアプリ「goo防災アプリ」を提供しているので、そちらも確認しましょう。
5.日頃から意識しておきたい災害対策
自身の安全のためには、日頃から災害対策を意識しておく必要があります。これは大手キャリアでも格安SIMでも変わりません。最後に、日頃から意識しておきたい災害対策を紹介します。
5-1.避難場所を確認しておく
災害対策のもっとも基本的な対策は避難場所を確認しておくことです。避難場所は自治体によって決まっており、各自治体のホームページから確認することができます。
また、Yahooが提供しているYahoo!天気・災害ページでも地図や地名から簡単に避難場所を確認できるのでおすすめです。
5-2.緊急速報を確実に受信できる状態にしておく
格安SIMユーザーの場合は緊急速報を確実に受信できる状態にしておくことも大事です。
大手キャリアであれば何もしなくても緊急速報を受信できるようになっていますが、格安SIMの場合は端末によって受信できるかどうか、設定が必要かどうか異なります。
緊急速報を受信できない端末の場合はプッシュ通知で地震速報やJアラートを知らせてくれるYahoo!防災速報をインストールしておきましょう。
5-3.通信手段を複数確保しておく
通信手段を複数確保しておくのも有効です。現在は電話やメールだけでなく、SNSや通話アプリなど、たくさんの通信手段があります。
いざという時に備えてSNSは利用登録を、通話アプリはインストールをしておいて、いつでも使えるようにしておきましょう。
6.まとめ
今回は災害時における格安SIMの対応方法について解説しました。格安SIMでも災害時に全く使えない、ということはなく、電話やメール、LINEなどによる連絡も大手キャリアと変わらず利用できます。
しかし、
- 緊急地震速報やJアラートを受信できないケースがある
- 基地局の数が少ないので通信ができなくなる可能性がある
- 災害用伝言版が使えない
といったデメリットもあります。そのため、緊急地震速報を受信できるアプリをインストールする、複数の通信手段を確保する、といった対策が必要です。
とは言え、普段から対策が必要なのは大手キャリアでも同じです。日ごろから災害への対策を行い、いざという時に備えましょう。
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